2009年8月アーカイブ

表面加工 ーはつるー

木材加工において、表面を薄く削り取る作業を「はつる」、それによって仕上げられたもの「はつり」仕上げといいます。


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右の画像が手斧(ちょうな)という道具で鍬(くわ)のような使い方をします。
台鉋が登場するまでは丸太から柱を作るときなどに使用されていました。柱一本作るのに丸一日はかかっていたそうです。現在では特別な寺院建造物などでない限りほとんど使われていません。

左がその手斧によるはつり加工に拭き漆で仕上げたもの。
手斧は重さもなかなかのもので柄も木製で適度なしなりがあり、また木という素材も部分によっては硬かったり繊維の向きが交錯していたりするため、どんなに狙いを定めて慎重に手斧を振り下ろしても一振り一振りの痕跡は上の画像のように不揃いな枡目のようになってしまいます。
しかしそこにはひと振りごとのエネルギーが火山のマグマがふつふつと沸き起こるかのような力強さが表面加工として現れます。

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右の画像が四方反りカンナというカンナの一種です。
このカンナは椅子の座面のくぼみをつけるときなどに使用します。これは比較的に操作がし易くカンナの刃と台の仕込みによっては木の繊維による表面仕上げへの影響を抑えられるのが特徴。

左の画像が四方反りカンナによる表面加工に拭き漆で仕上げたもの。
我楽堂では木の繊維に対して斜めにカンナをかけます。例えるなら水面に風がそよぎさざ波が立つ、そんな印象でしょうか。


我楽堂のほとんどの作品はこのような手作業によるはつり加工が施されています。
世間一般的にいう手作り家具の部類に入ると思いますが、作業効率や作品の仕上がり精度のため機械加工も併用します。はつり加工も一度は自動カンナという機械によってまっ平らに仕上げます。しかしそのあとにあえて表面に凹凸をつけていくのです。見方を変えれば無駄な加工だし、綺麗とは言えず、一言でいうなら野暮なものでもあります。
 
話は変わりますが、世間に目を向けると合理的であるといわれていることが絶対的に推し進められます。しかしある期間を置くとそれが間違いであることに気付いたり、また環境も当時と変化します。普段から自然に目を向けたり、野暮といわれるものも楽しめる感性やゆとりがあるのならこのような事態から大きく道を踏み外さない「勘」が培われるのではないかと感じています。

工場長 中村













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